「カンバン」からスタートしてしまったトヨタ生産方式

1986年当時特別なトヨタTPS先生にのみ使うことを許された英語・日本語対記のガイドブック当時1冊100万円の値が付いたと言われた本のコピー

1986年まではTPS(トヨタ生産方式)はトヨタ工場内、一次、二次サプライヤーの間で普及しており外に公開するなという印象のもとに普及していました。ところが米国政府からのプレッシャーもありトヨタも1986年NUMMIと言われるトヨタとGMの合弁会社、工場がカリフォルニア、フリーモント市でスタートしました。1988年YODAはアメリカ、カナダの自動車部品サプライヤー訪問のチャンスを得てTPS, 日本式製造技術管理について議論しました。そのときにはトヨタカナダ工場、スズキ自動車が生産を始めていました。YODAは日本人でしたので集中的に議論を挑まれました。CAWカナダ自動車労働組合は最も過激で名を馳せていました。当時の議論のトピックスを挙げておきます。

■ カンバン方式を押しつけられるだけで、我々のやり方より良い点を誰も教えてくれない。

■ 軍隊式で”こうしろ”と言うばっかり。

■ スズキ式、トヨタ式、ホンダ式、5S活動等現場管理の言葉が整理、理解されないまま全部一緒になってTPS,日本式は理解できない。などでした。

写真の極秘ガイドブックの1頁からカンバンとは? から始まっています。トヨタの理念、などは全く触れていません。これは技術書でありツールブックとよばれる基になっていました。

オーストラリアではBMホールディングとトヨタの合弁会社がスタートしておりその際使用されたTPSの説明資料のコピー。

海外では英語文書からTPSを学ぶしかなくあっという間にコピー書がでまわりました。NUMMIの準備段階では500人もの作業者、管理者が日本のトヨタでTPSの講習を受けておりその際UAWが14冊のTPSガイドブックを作業者教育に編纂したものがあります。これを見るとカンバンに関する冊子はありません。また、その当時日本語のできる米国人の通訳も少なく苦労したことも聞きました。その通訳が今、米国でリーンコンサルタントをしている方々を知っています。この方々も現場での改善経験がないので会社トップへのコンサルを行っており、現場への理解はまだまだです。

トヨタの現場管理手法を纏めた実践編が1978年に発行された。

この本が米国へ渡りProductivity Inc.より英訳本が発行された。なんとタイトルが「KANBAN」というものでした。これではトヨタ式=カンバン方式。実践者はいきなりカンバンを使ってトライしたが旨く行くわけもなくトヨタ式なんて出来ない、これは難し過ぎると諦めていった。1960年に渡米した新郷重夫氏も継承を鳴らしていました。米国である講演会に招かれたトヨタの方の講演タイトルが「トヨタ自動車とカンバン」では将来誤解を招くような事にならなければよいがということが言われていました。

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