K社長のDX導入感

12月20日月曜日、名城大学河田教授とともにK社を訪問する機会を貰いました。K社長はDXが叫ばれる以前から我々がやって来たことがDXだと言われました。K社長は全社最適化を目指してDX技術で全社的改革を進めてきた。その先には「戦略的原価システム」を考えている。

そのためには生産工程データを人の手を介した書類データではなくリアルタイムにDX技術で収集してゴール(出荷時間)に対してスタート(生産開始時間)を設定し現状時間に対して遅れ、進みをモニターで各工程に掲示して情報を共有することを目指していますと言われていました。率直なところ社長のDXに対する情熱に感動しました。

会談中のキーポイント

  • 工程の流れを重視
  • ボトルネックの工程を重視
  • 工程の入り口から良品材料を投入すれば最終工程からも良品が出る
  • 設備の稼働実績はデータで蓄積、良品条件をIoTでモニターする
  • バーコードリーダーで読ませて初めて設備が稼働開始
  • 冷間鍛造固有技術の探求・継承 (材料コーティングと型製作は自社)
  • 工程の簡素化、一個流しの探求
  • 人財育成
  • ITベンダーの生産管理ソフトは使わない
  • 古い設備に自家製センサーを設置
  • 人が介在するデータ収集は極力排除する

私感

設備、工程の簡素化をしてからDX導入に取り組む徹底振りはこれから導入する会社にも大いに役に立つ情報だとおもいます。必要なものだけをリアルタイムで情報を収集する。余計なことはシステム構築に組み込まない姿勢や方針は過去の失敗を活かした結果だと思います。生産技術力、設備管理技術、営業力を強めた結果だろうと思います。急がず、休まず、コツコツと構築していくこともおおいに学ぶところがありました。スタートしてから3年、来年(2022年)には「戦略的原価システム」が出来上がる予定とききました。戦略的原価システムとはどのようなものかは聞き取ることはできませんでしたが、来年も是非お邪魔したいと思いました。私感ですが、売上に対してどこまで人原価を減らせるのか? 売上高÷頭数の指標を社長は描いているのかもしれません、100円売り上げるのに本当に何人必要なのか? 素朴な指標を社長自身にはあるのかもしれません。設備も古い設備で充分、本当に必要な設備パーツは何なのか? リードタイム短縮は何処を縮めれば良いのかの見える化ではないかと想定します。また、人財育成と言ってもどのような協和人に育て上げればよいのか?全社最適に物事を捉える事が出来る管理者。作業者の生き甲斐、働き甲斐を目指しながら人を削減していくジレンマは悩ましいものがあると思います。なんと言っても社長が現場を案内でき、随所で自ら説明できることが素晴らしいと感じました。

K社長の考え方で組織を考えると作業者と設備管理グループを一緒にして直接労務費の削減に向け、営業と技術部門を統合して間接労務費の削減に向かうことも想定できる。総務、経理部門の統合で省けるところを省いて薄い組織を目指しているのかもしれない。

社長の考える全社最適化、戦略的原価システムの中には少子高齢化の基、グローバルな会社活動も念頭にあるのではないでしょうか? 現在、中国、タイに工場があり日本のマザー工場の仕組みを海外の工場にも導入すればインターネットとAWS(アマゾンクラウド)などでリアルタイムに稼働状況が日本で把握出来、異常発生時や原価低減活動が素早く全員で把握出来スピーディーな解決に繋げるような意図があるように考えます。

日本国内で製造することで何処までコストを下げる事が出来るのか、また為替変動リスクまで考慮したサプライチェーンの構築が社長の念頭にあるのではないでしょうか。

次回是非尋ねてみたいと思います。

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