能率学があった。3ムの原点もそこにある。

前回IE教育の衰退に憂う今日の心証を書きましたが、書いている内にIEを学び始めたころ確か「能率学」が在ったような記憶があり調べてみました。上野陽一先生が1955年「能率学原論」を出版されました。上野先生は産能大学の前身、日本能率学校の創始者です。その一節を引用します。

生物、ことに人間の行動には目的がある。その目的を達するための手段として行動を起こすのである。この目的と手段とがお互いに釣り合っている状態を能率といい、これを式の形で表すと「目的=手段」となる。また「目的≠手段」のとき、その状態を不能率と呼び、ムリとムダの二つの状態がある。すなわち、目的>手段の場合は達しようとする目的に比べて、手段が小さすぎる場合があり、これをムリという。「目的<手段」は上と反対に、達しようとする目的に比べて用いる手段が大きすぎる状態でムダという。世の中には、目的と手段が釣り合っていないことが多い。即ち、不能率の状態のほうが多く、能率的な状態は少ない。言い換えればムダとムリが存在している。また、同じ事柄も立場を変えてみるとき、あるいはムだとなり、あるいはムリとなる。世の中にはムダ、またはムリの一方だけが存在しているといことはない。ムダの存在するところには必ずムリがあり、ムリのあるところには、必ずムダがともなっているものである。例えば、乗り物が込むのはムリであるが、同時に乗っているひとの精力をはじめ、いろいろなものがムダに消費されていることを意味している。また、ムダとムリは性質が相反しているから、ムダとムリがあれば当然のことながらムラができる。

目的=手段・・・・・能率

目的<手段・・・・・ムダ 目的>手段・・・・・ムリ 不能率 ムラ

能率学とは、このムダとムリとを発見して、これを除き、ひいてはムラを少なくして世の中に正しい道をしき、人の生活を幸せにすることを目的とする学問である。

このように、IEの手法のみを学んでも、それぞれの意味するところを理解できないとツールが生きてこないということです。TPSの中にも難解な語彙が使われているが意味するところを理解することがTPSを使い熟す近道と考えます。